2008/04/08

救急車に乗った

久々に救急車に乗りました。


といっても、大変なことになったわけではなく、減圧症の"疑い"のため。

減圧症がなにかは、たぶんダイバー以外知らないと思うが、スキューバダイビングで もっとも多くの人に顕在するだろう大き目のリスクである。
http://www.edasango.sakura.ne.jp/dcs/DCS.htm
http://www.divingmedicine.jp/decompression/index.html

15000-20000本に1回、と言われているけれど、アナログ的に発生するものなので、軽度のものや減圧症という本人自覚のないものを含めるともっとずっとあるはず。
予防策はたくさんあるけれど、それを守ってもなる時はなるのが怖いところ。

気泡によって神経や筋肉がやられるので、感覚が鈍くなったり痛くなったりというのが症状。

自分の自覚症状は
1. 肩の痛み
2. 頭&身体がだるく、宙に浮いた感じ(とても軽度)
3. 目のピント合わせが従来の 1.2倍時間かかる気がする

1 は3日目の朝くらいに自覚したのだけれど、内部からではなくて物理的に来ている感じで、ダイビングでありがちなことなので、あまり気にせず。
2,3 は香港に帰国後に自覚。日常生活にまったく支障はないのだが、このままずっとこれだと嫌なレベル。

旅の疲れによるものですぐに直るだろうと思ったけれど、香港に帰ってきてから3日(最終ダイブから5日)たっても状況が変わらないので、軽い減圧症 を疑い始めた。

減圧症に関するサイトを色々と調べていると「疑いが少しでもあれば一刻も早く治療しなければ後遺症がひどくなる」「自然治癒もあまり望めない」ということなので、保険のために病院にいってみるか、という気に。

幸いにも妻の同僚にダイブマスターがいたので、香港で減圧症を見てくれる病院を聞いてもらうが、とにかく
「少しでも自覚症状があれば一刻も早く病院にいくべし」ということだったのでもう夕方であったが、教えてもらった病院に行ってみた。




行ったのは公立の大病院。
Queen Elizabeth Hospital
http://www13.ha.org.hk/qeh/index.html

急患のところで受付をすると、まず最初に100HKDの支払い。
(住民ID がないと値段が違うようだ)

英語が通じたのでよかったが、身体の症状を表す微妙なニュアンスは説明が難しいのでちょっと苦労した(こんな時に電子辞書の電池は切れているし)
けれど、担当してくれた先生はダイビングのことを理解してくれている人でよかった。

ダイビングのログブックなどを持参していって見せつつ説明をしたが、ダイビング内容もその後のフライトも問題ないだろうという結論に。
実際、単体でリスキーな状況はなかったはず(後日、詳細記述予定)。

血液採取、X線撮影など、あまり関係なさそうな検査をした後、「減圧症という客観的な証拠はないけれど、念のため治療しましょうかね」
ということで、高気圧酸素治療を行うことに。

高圧状態を作り出す施設のある場所に移動するのに救急車に乗った。
着いたのは病院ではなく、街から離れた海軍か何かの施設。
もうすっかり夜。医者二人と施設の人3人が出勤してきてくれて恐縮。
ここでまた問診。

竹串や綿での感覚テストや力の入り具合、視覚、記憶力などについてそれっぽいテストを実施。自覚症状がないとおり、やはり全然異常なし。

再び
「減圧症という客観的な証拠はないけれど、念のため治療しましょうかね」
という結論になって、高圧チャンバーに入ることに。

時間は2時間ちょっと。
最初に18気圧まであげてそこで1時間弱すごした後、段階的に気圧を下げて残留窒素を体外に排出させてゆく。
高濃度酸素を吸っては、しばらくはずし、というのを繰り返す。
これは酸素中毒リスク回避のため。人間ってデリケートよね。
過程は日本での治療とまったく同じっぽい。

チャンバーには施設の人も一緒に入って面倒を見てくれた。
すこぶる暇なので、持ってきた本をひたすら読む。
持ちこまなかったらやばかった。

終わったのはもう23時過ぎ。
仕事とはいえ、自分ひとりのために5人もの人が深夜までずーっと付き合って くれて、とても申し訳ない気持ちに。 (皆様ありがとうございました!)

結果として、
- 肩の痛みは変わらず
-> これはやはり物理的なところから来ていた証拠
- 「なんとなくだるさ」等は改善。
-> 気のせいじゃないとは言い切れないレベルではあるけれど、やはり、とっても軽い減圧症だったのだと思う。

救急車で病院に戻り、最初に見てくれたお医者様に報告。
入院したいか聞かれるのでしたくないと言って帰る。

お金は後で請求書が来る模様で、払わず。
この治療費は日本では (保険適用前6万円) だけれど、これは異常に安く、
欧米はでは1回 25万円とか

今回は救急車とかも使ったし、大変なことになりそうな予感。

日本の健康保険を払っているので、帰国時に相当のお金をもらうこともできるのだが、これはあくまで日本基準でしか出ないので(海外の方が治療費が安い場合は余計に出してくれるわけではないので不公平)、クレジットカードの保険が利かなかったら嫌だな・・・。

ともあれ、不安な日々をすごすのもよろしくないし、何にも変え難い健康なので、よしとします。よい経験でした。

香港はダイビングする人がそこそこいるから担当できる医師もいたし、英語も通じるしでよかったけれど、中国本土なんかでこの状況だったら大変だったろうな。

やっぱりダイビングって不自然なものだと思いつつも、今後もやります。
(写真はプエルトプリンセサ)

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